itimoのブログ

有資格業。自分の人生の迷走を記録します。

【第20回】森博嗣氏著『「やりがいのある仕事」という幻想』を読んで

前回に引き続き、森博嗣氏の著作です。

 

内容は、本のタイトルのとおりなのですが、「仕事に希望が無く、どうしたらいいですか?」という相談に対し、これは相談でも質問でも無く、自分の現状を分析しているもので、その分析は多分正しい、という回答が印象的でした。問題がどこにあるのかは明らかで、仕事について最初に抱いた希望や夢が、非現実的であったということである、と。人生の生きがいを仕事の中に見つける必要はどこにも無く、好きなことをどこかで見つければ良い、と。

 

著者は、仕事は一日の中でも多くの割合を占めるから、その時間を少しでも楽しみたい、と考えるのは人情である、と、一定の理解を示します。しかし、仕事をするからこそ、お金を稼ぎ自分の好きなことができ、仕事の基本は、「これを我慢すれば、あれができる、あれも買える、あそこへも行ける」という交換である、と。

 

仕事とは、その程度のことのようです。仕事で人間の価値が決まるのではなく、自分がどれだけ納得できるか、自分で自分をどこまで幸せにできるか、ということが、その人の価値である。その価値というのは、自分で評価すれば良い、と。前回でも同様なことを書きましたが、自分の主観的な思い込みにより、自分を追い詰めることの無いようにしたいものだと思いました。

 

最後に、自営業についてです。どんな商売であっても、お金を誰かから受け取らなければならない訳だから、その相手には頭を下げることになる、会社勤めとの差は、あらかじめ賃金が定まっていないという一点だけである、と述べられており、確かにそうだと思います。その上で、自営業は、今のインターネットの時代、特に店舗等のこれまでの形のままでは、店舗はネット販売には敵わないこと等により、以前よりもはるかに難しくなっている、と。

 

個人レベルで世界中とつながり、ほとんど無料で利用できるインターネットにより、メディア(ハード)からコンテンツ(ソフト)へ、メジャーからマイナーへ、ジェネラルからスペシャルへ、という大きな変化が、今後も進行することが予想される、と。有資格業であるからといって、専門性があるから安泰だとあぐらをかかずに、社会は今後どうなっていくのかという意識を持って、生きていきたいものです。

 

今回も学びのある良い読書でした。以上、読んでいただき、ありがとうございました。